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中央合唱団を愛する理由(わけ)〜私流昔話 No.6

播磨豊和(中央合唱団・前団長) 

** 感動篇 その1 **

1)中央合唱団の要請に応えて職場(東部信用金庫)を退職し、専従団員の道に踏み出したのは、19歳の秋でした。
兄貴たちが後押ししてくれましたが、両親は専従団員になることに反対しました。専従団員は全員が寮生活です。出発の朝まだ暗いうちに母親にたたき起こされました。何かわけのわからない所へ行く、息子の家からの脱出を近所の方々に見せたくなかったらしい。タクシーを呼んだおふくろは、なぜかトランクを開けさせました。家の中から真新しい対のふとんを運び出して来るではありませんか。反対はしたものの、息子への親心でしょうか。寮での就寝時、しばらくは私の体の奥底をあたためて、専従団員として活動する決意をいっそう強めてくれました。

2)専従団員の候補生としての訓練が終了し、本格的な専従活動にふみだしました。午前中は音楽の勉強で、午後からは「うたごえ」を普及する実践です。
ある日、世田谷にある映画会社「新東宝」労働組合の要請に応えて、独学で2曲弾けるようになったアコーデオンを担いで歌唱指導に出向きました。労働組合幹部が団体交渉を行っている間に、食堂で待機した組合員とうたごえを交わす役割を受け持ち、ならいたてのアコーデオンを弾きながら指導を進めましたが、みなさん簡単には歌ってくれませんでした。

しかしそのうち、私の「一生懸命さ」に心を寄せていただき、大きなうたごえが食堂中に響き始めました。断行が難航していた労働組合の交渉団が、状況報告に食堂に足を踏み入れた途端に、待機していた組合員の元気なうたごえに度肝をぬかれ、一言もか語らずに交渉の場へ引き返しました。

後日、労働組合の役員の方が音楽センターを訪れ、感謝状と金一封が私宛に届けられました。聞くところによると、元気なうたごえに勇気百倍となった交渉団の迫力ある訴えで、要求が獲得されたそうです。たかが「うたごえ」されど「うたごえ」。活動の確信をふかめました。


3)全国金属の労働者が中央交渉で大手町の労働者ビル1階に座り込みました。私もアコーデオンをかついで、応援のため出動しました。
待機するみさなんに「一緒に歌いましょう…」と呼びかけるのですが、ほとんど声が聞こえてこない。
その時、守衛数人が「ここで歌ってはいけない!」と私につかみかかってきました。すると、座り込んでいた労働者が一斉にすくっと起ち上がり、「がんばろう」のうたごえを力いっぱい歌いながらもみあいで倒れた私に道をあけ安全な場所に誘導し、汚れたズボンの裾をはたいてくれました。
あの「がんばろう」のうたごえは忘れられません。
そういえば国会での座り込みで、炭鉱労働者が機動隊から私たちを守り、キャップライトで照らしながら「うたごえ」の即席ステージをつくってくれたこともありました。
労働者はあたたかい。


今回から感動篇のスタートとなります。 次号もご期待ください。

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